第0節、概要
最近は気候変動による気温の高温化で農産物の栽培が困難になりつつあります。
例えば、主食となるお米は気候の高温化により品質や収量が低下傾向にあります。そして、近年、その対策として、高温耐性の稲の品種の開発や高温耐性の品種への作付けの切り替えが日本各地で行われてます。
今回の記事では、気候変動(温暖化)状況下での農作物栽培の対策案の1つとして、上記の例とは、また別の方向性のものを書いてみたいと思います。
それは、以下のA、B、C、D のようにして、作物栽培を行う、というものです。
A、在来種、固定種を使用する。(あと自家採種する。)
B、無肥料栽培する。
C、不耕起栽培
D、刈草、枯れ草、稲わらマルチで畝を覆う。(以下、枯れ草や稲わらは省略して刈草マルチと略記する事にします。)
これは、一言で言うと自然農法だとか自然農と呼ばれるやり方の方向性に近いものと思います。
便宜上、あるいは記述上、上記のA、B、C、D でする農法をエコセコ農法と呼ぶ事にします。
最近の中東問題による石油危機で石油不足が問題になってますが、上記の方法は殆ど石油を使わないか、あるいは大幅に使用を削減できるというのも特徴の一つとなります。(→石油を使わないので、温暖化抑止になります。石油を使わないというのは、燃料、動力としての化石燃料や、石油由来製品であるプラスチックマルチなどを使わないという事です。)
そういった事からエコセコ農法は環境負荷が低く、エコな農法と言えると思います。
また、エコセコ農法は、温暖化抑止になり、かつ、温暖化状況下での作物栽培に適してるのみならず、此度の中東石油危機のような慣行経済の機能不全時、トラブル状況下での作物栽培、食糧確保にも適してる面があるのではないか、と私は思ってます。
次に、幾つかの注意点を書きます。A、B、C、Dは基本、全てをセットで行うのがおススメです。A、B、C、D、全てを組み合わせる事で、うまくゆく面があります。
なかでも、とりわけ、A、B、C、D の中で関連性の高いペアがあります。
Aの固定種、在来種使用とBの無肥料栽培はセットとなります。AとBは相性が良いです。即ち、昔ながらの固定種、在来種は無肥料栽培でも充分に育ちます。そして、ある程度の収量を得る事ができます。
他方、近代的な種やF1は肥料を前提としてる場合が多いです。近代的な種やF1の種を無肥料で栽培するとあまりうまく育たずに収量も少ないです。近代的な種やF1の種で栽培する場合は、何らかの肥料、有機肥料か化学肥料を用いた方が良いと思います。
次にCとDについてですが、Cの不耕起栽培とDの刈草、枯れ草、枯葉マルチで畝を覆う、というのもペアというか、セットとなります。
畝を刈草や枯れ草、稲わら、枯葉などで、ある程度以上の厚みで覆って刈草マルチにします。簡単の為に「刈草マルチ」と書くことにしますが、枯れ草や稲わら、枯葉で覆う場合も、今後は便宜上、記述上、刈草マルチと呼ぶ事にします。わざわざトラクターや耕運機、あるいは鍬などで土を耕さなくても、刈草マルチにすることで、刈草の層の下の土が耕した時以上に柔らかくなり、また、水分もあり、茶色の粘土のような感じになり、作物栽培に適した状態になります。
この刈草マルチはプラスチックマルチと同様に土を柔らかい状態にする効果と、土の水分保持、保湿効果があります。
他方、プラスチックマルチには無い、刈草マルチのメリットとして、土壌の温度が上がり過ぎるのを防ぐというのがあります。
トマト栽培時にプラスチックマルチを用いた際、夏場に気温が上がって来た時にプラスチックマルチを解除するというケースをしばしば見かけます。トマトは高温を嫌いますので、強い日射の下、プラスチックマルチをしたままだと、土の温度が高くなり過ぎてトマトが枯れるなど生育が悪くなるからだろうと思います。
他方、刈草マルチで畝を覆った場合は、夏場の強い日射の下でも、刈草の層の下の土の部分は高温にならず、相対的に冷えた感じがして、水分も保たれます。
これは温暖化により高温化する環境において、大きなメリットになる事柄と思います。
次に食味や質について書きます。エコセコ農法(=A、B、C、D でする農法)で育った作物は食味良く、質も良いです。味に奥行きや多様性があります。例えば人参は生で食べると甘いケースもあります。近代的な人参の品種は単純な甘みしか感じないケースもありますが昔ながらの種を上記のような農法で育てた人参は青臭さや筆舌し難い香りなど、味や香りに奥行きや多角性があり、単に甘いだけに止まらない味わいがあります。
また作物は全般的に日保ちもして、腐りにくいです。一般に詰まっているようの感じがして硬い傾向があり、元気というか生命力があるように感じられます。
エコセコ農法で育った作物を食べると心身ともに元気になり調子も良くなります。
あと、エコセコ農法は主に家庭菜園など小規模な作物栽培を想定しています。家庭菜園などの狭い面積の農地や1〜5反(1反=10アール=1000平方メートル)程度の小規模な農地を主に想定してます。1ヘクタール(=10反=100アール)を越える大規模な農業、広い農地、大量生産の農業においてはエコセコ農法は不向き、適用不能な面もあるかも知れません。しかし、ある程度の規模の農業においても、部分的にヒントになる要素、役立つ要素がエコセコ農法のやり方の中にあるかも知れません。あるいは広い農地においても、やる気や、人手、工夫次第でエコセコ農法的な事が可能かも知れません。
また、今、述べた農地の規模と同様な感じとなるのですが、今回の一連の記事は、純粋に人が生きてゆく上で必要な食べ物、農作物を栽培するというか、育てるという側面を想定してます。農のそういった面に主眼をおいた記事となります。
今回の一連の記事は農によって、生計を立てるとか、農を生業とするというケースは想定してません。即ち農業という側面(商業的農)は度外視してるというか想定してません。エコセコ農法は基本、商売向きでは無い、お金儲けどころか生計を立てるには向いていない農法というイメージを私は抱いてます。基本、現代においては農業に限らず、あらゆる産業において石油由来の燃料や原材料を使って生産活動をしないと商業競争について行けない傾向があると私は感じてます。
しかし、案外、エコセコ農法は工夫次第で農業(生計を立てる農)としても採用できたり、あるいは考え方、やり方を部分的にでも取り入れたりして、部分的にでも参考になる面があるのかも知れません。
また、今回の記事は主に畑作を想定した話となります。しかし、稲作において、水を張らずに苗を育てるような時期(苗作の時期)においては適用可能と思います。
概要は以上となります。以下、さらに詳しく書いてゆこうと思いますが、各節ごとに別記事に書いて投稿する予定です。この記事では、今回は以下に目次のみ書いておきます。
次回は「第1節 エコセコ農法の信頼性と、その判断材料としての私の農業経験の紹介」を投稿予定です。
【エコセコ農法-気候変動の下での農作物栽培のやり方の1つの案-】
目次
第0節、概要
第1節、エコセコ農法の信頼性と、その判断材料としての私の農業経験の紹介
第2節、エコセコ農法のやや詳しい話
2-1、エコセコ農法という名前
2-2、在来種、固定種について、自家採種
2-3、刈草マルチについて、具体的なやり方など
第3節、その他
3-1 エコセコ農法における小ワザ
3-2 その他の補足
第4節、オマケ 各農法の特徴(あくまで私見です。)
第5節、あとがき
2026年5月投稿