真留句はこう言った コロナ以前 -20
世界の中心でiを叫ぶ真留句
※ この記事の内容の理解には数学に関する予備知識が必要です。
必要なのは、あくまで知識です。数学的思考力、知力、推論、計算力などは不要です。
必要なのは三角関数と指数関数のグラフの概形、振る舞いの知識と、オイラーの公式と呼ばれるシンプルな公式です。幾分、本文の後に補足説明しました。
以下、本文
「今、世界に、我々に最も必要なものはi ではないか!
人類へのi、
世界へのi、
生きとし生けるものへのi、
草木へのi、
動物へのi、
地球へのi、
己自身へのi、
妻へのi、
夫へのi、
両親へのi、
子供、子孫へのi、
七代後世の者達へのi、
友へのi、
同僚へのi、
商品へのi、
サービスへのi、
労働へのi、
made in own country へのi、
平和へのi、
同志へのi、
iは上と下、高さと低さ、優劣、順序、比較、成功と失敗、もろもろの価値評価を超越し てしまう。(注1)
iこそは破壊と破滅をもたらす指数関数exp(t)を
持続可能、調和と循環、大いなる円環(corona)、巡り巡りたる永遠回帰を表し、また万物をも生成する三角関数cos(t)、sin(t)に変えるのだ、
即ち、オイラーの公式(注2)
exp(it)=cos(t)+i sin(t)
のようにして!」
真留句はこのように世界の中心でiを叫んだのだった・・・・・が、急に思い出したかのようにつけ加えた;
「しかし溺iはかえってマイナスであることをお忘れ召されるな!
i×i = -1
なのだから !」
補足
注1、虚数i(i×i=-1)が登場する実数を拡張した複素数の世界では順序は存在しません。より正確には順序を定義できません。例えば2つの数字2+i、-5+3iの大小の比較は出来ません。どちらが大きくてどちらが小さいかということは意味が無いこと、決める事が出来ない事です。
これは大小関係、順序が存在した(正確には定義できる)実数の世界とは異なる性質です。実数の世界では3と5ならば、3<5のように大小関係、順序が存在します。
注2、※ e^tをexp(t)と書いたりもしますので、この記事ではそうしてます。
指数関数exp(t)はtの増大とともに急激に増大する性質を持ちます。
大雑把には、ねずみ算の増え方、複利計算の利子つき借金などのような増大を表します。
またコロナの感染者数のもこれに近い性質を持ちます。単位時間あたりの増大数が現在の数に比例する、といった事象を表します。(注3)
グラフは前述の他に、地球上の人類の人口なり、化石燃料の使用量なり、GDPのように急激な増え方をするグラフをイメージすれば良いような気がします。
他方、三角関数cos(t)、sin(t)のグラフは波のような概形です。
sin(t)ならば、まず山がきて、山の頂上で最大値1となります。次に谷がきて最小値-1を谷底でとります。それから、また山が来て、それから谷・・・・と波みたいになって同じ形を繰り返します。1と-1の間を永遠に行き来します。
そして、指数関数と三角関数を結びつける公式
exp(it)=cos(t)+i sin(t)
をオイラーの公式と言います。
この記事のテーマは、
【破滅や破壊を表す指数関数exp(t)のtをi(愛)をくっつけてitで置き換えるとexp(it) = cos(t) + i sin(t) となって調和や自然界における健全さを表す三角関数cos(t) 、sin(t) に変わる】
というものでした。
注3、以下は本編のテーマには関係のない、おまけです。数学に興味のある方向けの注。(数学に興味ある人はすでに知ってる場合も多そうですから、存在意義が問われる部分もありますが、書きたいから、いちおう書いてみます)計算とかも書いてます。
数式を用いて【単位時間あたりの増大数が現在の数に比例する事象】が指数関数で表されることを説明したいと思います;
時刻tにおける、ねずみの数なり借金の金額なりをN(t)と書いて、【単位時間あたりの増大数が現在の数に比例する、といった事象】を数式で書くと
dN(t)/dt = βN(t)
となります。βは比例定数といいますか、定数で借金の場合なら利率のようなものを表します。
この方程式の解は (※注4に解法)
N(t) = Aexp(βt)
と、指数関数になります。Aは積分定数です。
A=1、β=ln2の時はN(t) = 2^t
となってねずみ算の増え方、
A=10万、β = ln1.2 の時はN(t) = 10万×(1.2)^t
となって、利息20%で10万円の借金をした場合の借金の額を表します。
※ ln は自然対数。即ちe = 2.71828・・・・を底とする対数 log
注4、方程式の解き方
dN(t)/dt = βN(t)
両辺にdtをかけてN(t)で割って
dN(t)/N(t) = βdt
両辺を積分して
ln N(t) = βt + C ※ ここで C は積分定数
両辺の指数(exp)をとれば
exp(ln N(t)) = exp(βt + C)
左辺は指数exp と対数lnの定義によって、あるいは互いに逆関数の関係にある事から
左辺=exp(ln N(t)) = N(t)
右辺において積分定数 をexp(C) = A と書き直すと
右辺== exp(βt + C) = exp(C)×exp(βt) = Aexp(βt)
以上から N(t) = Aexp(βt)
※ 真留句はこう言った コロナ以後9
ネズミ、お米、コロナ
との関連で倍々になって行くネズミの増え方、お米の増え方、コロナ感染者の増え方が32単位時間経過後に50億に近くなる事の計算。
今回はコロナ感染者がはじめに1人、1時間後には2人、2時間後には4人、3時間後には8人・・・・と1時間毎に2倍になって行くケースを考えてみます。
50億人に近くなるのはいつでしょう?
これは高校数学の対数の分野の身近な演習問題にもなると思います。
t時間後に50億人に達するとして、
2^t=50億=50×10^8=5×10^9
こういう桁が大きい計算をする時は対数が役立ちます。10を底とする常用対数をlogと書くことにして先の方程式の両辺の対数logをとれば
左辺=log(2^t)=tlog2
右辺=log(5×10^9)
=log5+log(10^9)=log5+9log10=log5+9log(2×5)=log5+9(log2 + log5)=10log5 + 9log2
よって
tlog2=10log5 + 9log2
両辺をlog2で割って
t=9+10(log5/log2)
ここで常用対数表の値を見て log2=0.3010 、 log5=0.699 を代入すれば、
t≒9+10×(0.699/0.3010)≒9+23.2=32.2≒32
よって32時間後、2日目にはだいたい50億に近い人数になります。(検算したら42億人くらいでした)